北海道旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部小樽地区
朝里駅S12北海道小樽市朝里一丁目
小樽駅管理の無人駅
🆋Kitacaの駅
2020年7月訪問時の様子
小樽市郊外の海岸沿いにある小さな無人駅です。線路沿いにへばりつくように駅舎が設置されていて、駅舎を出るとすぐに公道。送迎車両が駐車するようなスペースは無くタクシーが客待ちすることもできません。建物は観光客の多国籍化に対応するためなのか、「JR朝里駅」の表示にローマ字が付記されるようになっています。
当駅の歴史は古く、1880(明治13)年11月に官営幌内鉄道が当駅を仮乗降場として開業させています。現在の駅舎は1998年に直された建物で、一時的に社員配置(管理駅から派遣)があったようですが、自動券売機が整備されたことから1999年に完全無人化されています。
駅の外の様子はこんな感じ。商店などはほぼ見当たらず、辛うじて飲料の自販機があるくらいで、少々の住宅が点在している静かな環境の駅ですが、昨今アジアで映画や歌手のPVのロケ撮影を当駅で行う例があり、日本人以外の来訪が増加傾向にあるようです。
だからなのか、鉄道施設にはこのような多言語の警告看板が多数掲示されています。
建物内部の様子です。ホームへ向かう導線上にはICカードと磁気処理が施されている乗車券類の処理ができる改札機が1通路分あります。
券売機に運賃表が掲示されています。当駅から札幌駅までは640円(桑園と苗穂も同額)、新千歳空港駅までは1,700円となっています。
自動改札機にきっぷが詰まった場合は呼び出しボタンを押すよう指示が書かれています。
列車運転本数です。10時台に列車本数が薄くなりますが、それ以外は概ね本数が確保されています。
列車運休時など、鉄道以外の移動手段を案内する掲示物もしっかりとあります。
ホームの状況です。札幌近郊のKitacaエリアということもあり、点字ブロックの他にホームの端にはウォーニングゾーンを示す赤い線も施されています。駅舎から小樽方面ホームへは跨線橋を横断します。
跨線橋そのものは古いですが、こちらも階段には注意喚起の処理が施されています。
といってもこの跨線橋も後述のサブ出入口があるので、利用頻度はそれほど高くないのかも知れません。
その跨線橋から旭川方を見た図です。
当駅にはもう一つの出入口があります。朝里東部踏切を横断した対岸の1番線に駅舎を経由せずに直接出入りができます。
JR的には駅舎から跨線橋を横断してのルートでの行き来を推奨しているものの、なし崩し的に放置されているどころか、むしろ利便性を高めているのが現状で、黙認通路のすぐ脇には乗車証明書の発行マシーンがあり、交通系ICカード利用者向けには簡易改札機が駅舎とは異なる位置に別途設けられています。
それがこれ。札幌方面から来た列車から降りる旅客向けと、小樽方面へ向かう旅客向けに駅舎に立ち寄らなくてもICカードの乗降処理が行えるよう、待合室機能を一部排除させて強引に改札機が設置されています。
この手の自動改札機は券を改札機に通す(もしくはICカードを読み取り部にタッチさせる)ことと、人間の行動(通り抜ける)を同時に満たす設計になっているのですが、当駅の改札機はその「通り抜ける」という行動様式を否定しています。
改札機の向こう側は壁。こちらの改札機は磁気券の投入処理機能を切っています。なんというシュールな配置で話題になったこの自動改札機ですが、実は過去は異なる機種が異なる場所につけてありました(後述の過去訪問画像を参照されたい)。
どうしてこういうことになったのか・・・それはKitaca簡易改札機のメンテナンス事情によります。
Kitacaサービス開始から10年程度が経過。サービス開始時から稼働していた「クイズ番組の早押し機」のような形状の簡易改札機器更新をするにあたり、後継製品選定で決定したのがこのタイプの機器だったのでしょう。
一般的な駅舎であればこのタイプでも全く問題はありませんが、駅舎外など機器設置に不釣り合いな施設にも設置をする必要があります。とはいえ違うタイプの機器を導入すればメンテナンスのコストにも影響が出るでしょう。そんなことを資金的に難があるJR北海道がするわけもなく、どうしても同一機種にする必要があり、苦肉の策として編み出したのがこのような設置手法だったのでしょう。
※この会社以外でも多少のコスト意識が働けば同じ考えに至るでしょう。
1番線から2番線を向いた視点。海がこれほど近いので、天気がいいと視界が開け気持ちがとてもよいです。
そんな当駅は複線上の2面2線。普通列車が停車します。
それ以前の様子
※駅番号が制定される前の駅名標↑
構内は2面2線で、札幌方面の1番線側に待合室兼駅舎が設置されていますが、実は小樽方面ホーム2番線の札幌方に非公式な出入り口が…
一応こんな看板は出ていて「こちらからは出入りしないで欲しい」ということが掲示されてはいますが、その場所に乗車証明証発行機が設置されているので、事実上黙認していると言わざるを得ません。だからなのか、Kitacaサービスが始まると2番線ホームの中ほどにある屋根がある付近にこんな設備が出現。
まさかの簡易改札機設置です。これで手稲・札幌方面からの利用客がこちら側のホームに降り立った際、いちいち駅舎へ寄る必要はなくなりました。
ちなみに駅舎内の簡易改札機はこんな感じで設置されています。
以前は銭函駅のように中線がありましたが、現在は撤去されています。
<当駅→張碓駅間の踏切施設>隣の駅@函館線
・(259k630m)当駅259.3km
・(259k974m)朝里東部踏切
・(263k500m)張碓駅262.9km
※太字のリンク先は踏切施設調査の姉妹サイトへ飛びます
上り:小樽築港駅S133.1km
下り:張碓駅(閉駅)3.6km→銭函駅S118.8km
※訪問日:1999年1月14日,2001年3月30日,2005年9月5日,2020年7月17日